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テレビのニュースを見ていたら、摂食障害の治療を受ける医療刑務所の特集が放送されていました。

医療刑務所とは、心身に疾患が見られ、医師から治療が必要と認められた受刑者を収容する刑務所のことだそうです。

この特集では、受刑者の女性たちが、摂食障害の治療を受け続けている様子が取材されていました。

過去に摂食障害を経験した管理人自身も身につまされる話だったので、つい見入ってしまいました。

彼女たちが服役することになった原因は、万引きをくり返していた罪によるものが多いそうです。

なぜそうなったのかは、このサイトをご覧になっている方には想像がつきやすいかと思いますが、過食嘔吐の症状が出て大量の食べ物が必要になるため、お店の食料品を盗むようになったことです。

症状が起こると、一度や二度の過食では済まなくなります。

その都度、食費をかけて食料を買い込んでは、大量に食べて吐く、という行為をくり返すようになります。

それが週に2~3度起こるようになると、食料品を買うためのお金を支払いをするのがもったいないと思うようになり、万引きへとつながるようです。

また、一度このような習慣ができ上がってしまうと、自分では「もうやめよう」と思っても、抑えが利かなくなり、何度も同じことをくり返してしまいます。

そのため、再犯率も高くなるそうです。

このような犯罪をなくすには、やはりその原因となる摂食障害を治すことが必要です。

医療刑務所で治療を受ける中には、20代の頃に摂食障害になり、今は40代になったという女性の姿もありました。

また、診察の時には、毎日の食事のカロリーを気にして、少しでも太るのではないかと、しきりにお医者さんに訴える患者さんの姿も映されていました。

彼女たちは、「痩せていること」が最大の目的であり、自分を保つために必要なことになります。

ある患者さんは、それを「宗教のようなもの」と表現していました。

お医者さんが、
「痩せることにどうしてそんなにこだわるのですか?」
「他の考え方はないのですか?」
と尋ねると、
「では、キリスト教を信じてきた人に仏教がいいと言って、すぐに変えられますか?」
と反論する様子もありました。

彼女たちにとって、「痩せている自分」が唯一認められる価値基準であり、「太っている自分」は無価値である、という画一的な見方があります。

その価値観から抜け出すことは、本人にとって容易なことではないのです。

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なぜそのような価値観を持つようになったのかは、やはり「母親との関係」「不適切な養育環境」に原因があると指摘されていました。

摂食障害から受刑者になった彼女たちには、共通して母親との情緒的なつながりを持てず、逆に精神的に常に脅かされる環境で育ってきた、という経験を持っていました。

お医者さんはそのような母親からの影響を、「精神的暴力」と表現します。

彼女たちは、幼い頃から母親の激しい感情に振り回され、自分を理解してもらいたい、認めてもらいたい、と思ってもその願いを踏みにじられ、それでも母親に褒められるだろうかと必死の努力をしてきたのです。

ですが、その願いを叶えられることはなく、発症に至ったという経緯があります。

そして、摂食障害を発症してから両親が自分を心配するようになり、その心地よさに甘えたかった、という声もありました。

また、取材の中では、受刑後も入院治療を受ける娘の面会に訪れ、その様子を心配そうに尋ねる両親の姿もありました。

摂食障害は、精神障害の中でも致死率が高い症状とのこと。

人は食事を摂らなければ、死んでしまいます。

母親から適切な愛情を受けられずに育ってくると、無意識に自分自身を否定するようになり、それがいつしか歪んだ自己像となり、その囚われの中で、自分を死に至らしめてしまうのです。

母親は自分で手を下すことなく、娘に「自分の思い通りにするか、さもなくば死ぬかどちらかだ」と、生まれてからずっとメッセージを送り続けてきたといえます。

そのように「死ぬか生きるか」の環境から逃げ出せずに育ってきた彼女たちが、
「痩せている自分は優れている=愛される価値がある」
という極端な自己イメージに囚われてしまうのも、自らが生き抜くために選んだ唯一の砦といえるのです。

母親からの歪んだ要求や不適切な養育は、ごく当たり前に自分を受け入れることを拒絶させ、ごく当たり前に生きることを否定させるように影響を及ぼします。

それは、「痩せることが絶対」という誤った価値観をもたらし、宗教のように心と行動を支配します。

いうなれば、脳にインプットされてしまうのです。

本来、宗教とは人の道を示すものであり、キリスト教や仏教といった宗派を越えた大元には、絶対的な愛(無条件の愛)が存在しているものです。

彼女たちが本当に心の底から求めているのは、そのような愛に他なりません。

宗教(痩せること)を求めていれば自分は愛してもらえる、その基準に叶うよう死ぬほどの努力と節制をすれば、許してもらえる、という思いにすがっているのです。

それは、母親からは与えてもらうことができませんでした。

「どんなあなたでも愛している」
と言って抱きしめられる代わりに、
「私の言う通りにしなければ愛さない」
と、人として当たり前のものを取り上げられたのです。

だから、彼女たちは愛を求めて彷徨っています。

「どんな自分でも愛されている」
「どんな自分でも価値がある」

そう実感できることが、彼女たちの頑なな心を安らげるための、唯一の薬になるのではないでしょうか。

管理人も過去に摂食障害などの心身症を長く患いましたが、今ではその経験を生かし、「インナーチャイルドを癒す方法」「自分を愛する・自尊心を高めるイメージ法」をご提供させていただくようになりました。

やはり彼女たちの姿を見ていると、大元にある愛を思い出し、取り戻して生きることが何より大切なのではないだろうかと、改めて考える機会になりました。

心を癒す方法、自分を愛する方法は、他にもたくさんあります。

摂食障害を乗り越えようとしている多くの方が、1日でも早くそうした道を見出し、心癒され、回復し、自分を取り戻して生きることを願わずにはいられません。